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使い方に合わせたブーツ選び 4


このコラムの一番最初はここです。

ちょっと間が空いてしまいましたが、今度はエンデューロ向けのブーツについてお話しいたします。

■エンデューロ用

世界的にエンデューロというとISDEやエンデューロ世界選手権などの1周が結構長いコースを一日に300km程度を走るオンタイム制のものを指すのですが、日本では開催地の問題などから一部を除き耐久モトクロス的なものもエンデューロと呼んでいます。

そもそも日本で爆発的にオフロードブームが発生した時に、専用車両が必要※で敷居の高いモトクロスよりも保安部品を外しただけの市販車でレースが出来るエンデューロに人気が集まったわけです。

そのために当初のエンデューロは初心者向けという色合いが濃く、扱いやすいようにブーツも軽くて柔らかい物が好まれました。確かにアベレージスピードも比較的低く、モトクロスコースやゲレンデ特設コースではプロテクションも重要視されない場合があったためにそのようなブーツでも充分でした。

この時期に好まれた軽くて柔らかいブーツというのがガエルネのED-PROです。
このブーツは黎明期の日高(ITDE)で有名になった谷地といわれるコース上の泥沼で、「バイクを押すために効果的なブーツ」を作るというコンセプトで開発されたジャパニーズエンデューロスペシャルです。
ブロックパターンの底を着けただけではなく、その底を効率よく地面に押しつけるためのソールと足首の柔軟性を確保したもので、プロテクションはモトクロスブーツに比べると随分と劣りますがトライアルブーツに近い操作性で初心者でも違和感が少ない事が特徴でした。
このキャラクターからツーリング用として大ブレークした反面、ハイスピード化や難所化の進むエンデューロには段々不向きになっていったのです。

前置きが長くなりましたが、ではどんなブーツが現在のエンデューロ向きなのでしょうか。

現在でもモトクロスコースを使う耐久レースはありますが、エンデューロコースと呼ばれる自然の地形を利用したコースを使ったヘアスクランブルレースやヨーロッパ的なオンタイム制エンデューロも増えてきました。
ウッズの中をハイスピードで走り抜けたりヒルクライムやガレ場があったりと路面状況も様々で転倒しやすく、しかもその時にマシンやライダーに与えるダメージも大きくなってきたのです。
特にブーツは地面に近い分アクシデントの際に怪我もしやすくなります。しかしトリッキーなコースでは頻繁なシフト操作やブレーキングも必要なために操作性は出来るだけ犠牲にしたくありません。

そうなるとモトクロス用に堅く作られたトップモデルよりもミドルクラスの少し柔らかめのモトクロスブーツがお薦めです。このクラスはトップモデルよりも軽い場合が多いので疲労の低減にも寄与します。(トップライダーの場合はそのスピードから怪我防止のために敢えて堅いブーツをチョイスする人もいますが)

・ブロックソール
そうなるとソールはフラットソールになりますが、経験から言わせていただくとブロックソールの恩恵を受けるのは限られたシチュエーションで、しかもレースの場合はそれが結果に反映されることは無いと考えて良いでしょう。また重い泥の場合はブロックソールは返って泥の付着で歩きづらくなる場合がありますので一長一短です。
またED-PROに使用されているビブラムのモンターニュというソールは登山靴用なのでフレックスが多すぎてオートバイ用だと疲れやすくなってしまいます。長時間スタンディングで乗る場合はソールが堅い方が疲労も少なくなります。
ソールは消耗品ですからリプレイス時にビブラムなどの専用エンデューロソールを使用するのも良いでしょう。こちらはオートバイ用に開発されているのでソールのフレックスも適度で疲れづらくなっています。また耐久性も申し分有りません。MC GEAR取り扱いのブーツの中ではSIDIのSRSシステム搭載モデル以外はビブラムのエンデューロソールに換装可能です。

・メーカー別のお薦め
ガエルネFASTBACKが一番のお薦めです。本体はシンセティックレザー(合皮)でしかもくるぶし周りにシャーリングを多用しで柔軟性を高め、動作規制やプロテクションは樹脂パーツで行うという分業化が用いられているために軽く、柔らかく、しかもプロテクションも高いという理想的なブーツに仕上がっています。
ガエルネは半分日本製のような感じで欧米で流通している物と異なる場合があります。このFASTBACKも当初欧米モデルと異なり足首のフレックスを高めたりした結果エンデューロにとても良いブーツになりました。

SIDIは現在トップモデルしか取り扱いがありませんが、ガエルネと同じようなコンセプトでプロテクションと操作性を高い次元でバランスさせていますのでエンデューロにもお薦めです。
ちなみに個体差もありますが、ソールをボルトで留めているSRSシステムは複雑な機構のために重く堅くなっていると誤解を受けやすいのですが、なぜか柔らかく軽いブーツになっています。そのためエンデューロにはSRSシステム搭載モデルをお薦めしています。

他のメーカーでも同様の公式が当てはまるはずですが中にはトップモデル自体が他メーカーのセカンドモデル以下という物もあります。長く楽しみたい場合は結果的にコストパフォーマンスの高い信頼の置けるメーカーの物をお薦めいたします。

<ツーリング用ブーツにつづく>

※当時からMCFAJなどでは市販車でのモトクロスもありました。
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